2010年01月06日更新
新しい皮袋には新しいぶどう酒を
ご存知の聖書の中にある言葉です。誰も真新しい生地で古い着物の破れの補修はしないと思います。それは折角のお手入れがバランスの取れた希望どおりの物にならないからです。
この事をインテリアファブリックに置き換えて少し考えて見ましょう。お手許にお持ちのカーテンは上質で、しかも古びても十分に美しいかもしれません。貴方はお気に入りであろうそのカーテンを新しくお建てになったぴかぴかのお宅にお掛けに成る事をお考えになっているかもしれません。
ただ、私の経験では古いカーテンは、なぜか新しくお建てになったお家の中では、まるで色を失ったように「沈んで見える」事が多かったように思います。
インテリアファブリックというものはアンティーク家具のような古び方はしないようです。アンティーク家具や銀器、焼き物などの古い調度品の場合は、日頃の注意深い適切なお手入れをなさる事で古きよきものの味わいを持ちながらフレッシュな雰囲気を保ちます。しかし、布という物はどんなに上等でも長い年月の間にはホコリを吸い込み、色あせしてしまい古びてゆく愁い物です。
背広の事を考えてみて下さい。素晴しいオーダーの上等な背広でも子孫に引き継ぐ事は難しいでしょう。田安徳川家の第十一代当主であられる徳川宗英さんは、質素なお暮らしぶりで、お持ちの背広はまめに手入れをして実に四半世紀以上もの長い間、大切に着用されているという話を聞いた事があります。
それは立派な事ですが、逆に言うと四半世紀以上、日常的に使う布の寿命としては限界であると思われます。しかも、その背広は徳川さんの体格や体型に合った物に作られているはずです。どんなに大切にして長持ちされても、ご子息にお譲りするには、ご子息の体型や体格が徳川さんとそっくりでなければ難しいでしょう。さらに少しずつではあっても流行という事もあります。
実はカーテンにもそれと同じことが言えます。今、貴方がお持ちのカーテンは現在お住まいの間取りや雰囲気に合わせておつくりになっていらっしゃるので、次にお住まいになるお家にそのままお使いになるには色々工夫が必要になるでしょう。リフォームやクリーニングという手立てはあるにしても、まして貴方が新築のお宅をお考えなら、そこでの新生活は、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるように、新しいカーテンをお作りになってスタートされる事をお勧めいたします。それは清新な気持ちで新生活を始める大きな第一歩になるからです。
世の中には家の建築費が予定より増えてしまい、カーテンはいつでも買えるからとハウスメーカーに押し切られ、とりあえず安物で・・・というスタートをしたものの、なかなか取り替えることができず不満足な毎日を送っているという話をよく耳にします。こんな事にならないように貴方が決めるべき第一歩は「新しいお家」を建てると共に「新しいお気に入りのカーテン」を作ると決めることです。長いお付き合いになるカーテンはしっかりした考え方で決めて後悔をしないようにすることが重要です。
そのためには住宅展示場やインテリアショウをご覧になったり、その道に詳しいインテリアコーディネーターや幅広い能力を備えたカラーコーディネーター、豊富な経験を持つ専門家などの意見を聞くことが大切なステップになると思います。是非ご参考になさって下さい。
なお、カーテンのリフォームとかクリーニングという手段については又の機会にご説明いたします。
オーストリアンシェード:ホテル等で見かける
ドレープを沢山取った豪華さを強調した物です
プレーンシェード:最近沢山使われるようになリました
プリーツスクリーン:最近いろんなアイテムを加えデザインも豊富です
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- ウィンドウコーディネーター
上原誠 カーテンプラージュ 代表取締役社長
昭和30年、株式会社セルコン(旧近藤忠商事株式会社)入社。「インテリア先進国に学べ」と諸外国へ赴く。昭和64年、某大手百貨店の外商部向けに「お誂え専門」の会社、カーテンプラージュを設立。半世紀以上もインテリアの変遷を見てきた(自称)生き証人。
カーテン プラージュ http://curtain-plage.co.jp/