新築住宅取得に関する減税
●住宅ローン減税
今年度税制改正においては、過去最大規模の住宅ローン減税が実現しました。一般住宅の場合、2010年12月31日までに入居した場合、最大控除額は500万円にまで拡充。長寿命化、省エネ、耐震といった一定以上の措置を講じた長期優良住宅については、2011年12月31日入居まで最大600万円の控除が適用されています。いずれもその後は居住年に応じて控除率や最大控除額が減ってくるので、入居年度が早いほうが受けられる支援が増える仕組みです。このローン減税制度では、所得税で控除額を十分カバーできない場合、住民税も控除の対象に加えることができます。ただし、あくまでも所得税と住民税からの控除なので、納めた税額分が最大限度額となります。財務省の試算によると、年収700万円の夫婦+子ども2人世帯で3,000万円のローンがある場合、10年間累計で所得税が165.5万円の軽減、住民税が97.5万円の軽減と算出されています。
●建て替えなど、ローンを使わない長期優良住宅にも減税
団塊世代の建て替えなど、住宅ローンを利用せずに住宅を取得する人にも、減税措置が設けられます(投資型の減税)。控除の対象となるのは、長期優良住宅にするうえで性能を強化するためにかかった費用。この費用のうち1000万円を限度額とし、10%相当額をその年の所得税から控除します(控除しきれない金額がある場合、翌年分の所得税額から控除)。性能強化費用は、国土交通省が定めた標準的な性能強化費用に床面積を乗じて算出されます。この支援策は2011年12月31日までの実施です。【詳細・問い合わせ先】
国土交通省 住宅局(PDF ファイル)
http://www.mlit.go.jp/common/000037341.pdf/
平成21年度国土交通部会税制改正 主要項目
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_000254.html
既存(中古) 住宅リフォームに関する減税
●省エネ改修、バリアフリー改修に関する減税
省エネ、バリアフリーに関するリフォーム工事を対象とした減税も実施しています。一定条件を満たした場合、工事費用が200 万円を超える場合は200万円までが控除対象に(窓の改修と併せて太陽光発電装置を設置する場合に限り、300万円まで控除対象)。控除率は10%で、その年の所得税から控除されます。この支援策は2010年12月31日までの実施。省エネ改修とバリアフリー改修については、改修にかかった住宅ローン残高の一定割合を5年間にわたり所得税額から控除するローン型減税もあり、いずれかを選択することができます。
【詳細・問い合わせ先】
国土交通省 住宅局(PDF ファイル)
http://www.mlit.go.jp/common/000037341.pdf
平成21 年度国土交通部会税制改正 主要項目
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_000254.html
次世代エネルギーシステム設置に関する助成
●太陽光発電システム導入の補助制度
国による一般住宅の太陽光発電システムへの補助申請も、現在受け付け中。募集期間は 2010年1月29日まで。自ら居住する住宅に太陽光発電システムを新たに設置する個人で、 電灯契約をしている人を対象に、太陽電池モジュールの公称最大出力1kW あたり7 万円が 補助されます。また、国の補助制度以外にも、多くの各自治体が独自の補助・支援制度を実施していま す(右記に補助・助成等を実施している主な自治体を記載。国の補助制度と併用できるか は自治体によって異なるので確認を)。
【詳細・問い合わせ先】
太陽光発電普及拡大センター
http://www.j-pec.or.jp/
●家庭用燃料電池(エネファーム) 導入の補助制度
最近よく耳にするようになった家庭用燃料電池とは、都市ガスやLPガス、灯油などから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて電気を作り出す燃料電池システムのこと。昨年より「エネファーム」の愛称で呼ばれるようになり、電気を作り出す際に発生した熱で、同時にお湯もつくることができます。通常、電気は遠い発電所で作られ、各家庭に届けられるまで半分以上のエネルギーが失われてしまいます。エネファームは自宅で発電するのでエネルギーロスが少なく、効率的な使用が可能に。そのためCO2排出量を減らす環境配慮型機器のひとつとして期待されています。今年から都市ガス各社やハウスメーカーを中心に本格的な普及が始まりましたが、現時点で1 機約300万円と高価なのがネックになっています。
太陽光発電システムと同様に、エネファームも本年度から国の支援策が始まります。主として家庭にエネファームを設置して利用する人やリース事業者を対象に、一定の基準を満たした場合、(機器本体価格-従来型給湯器の基準価格)の1/2+設置工事費の1/2(上限140万円)の補助を受けることができます。募集開始は2009年5月22日からを予定。
補助金制度の詳細や説明会の実施などはHPで確認してください。
【詳細・問い合わせ先】
燃料電池普及促進協会
http://www.fca-enefarm.org/subsidy/subsidy.html
●東京都が太陽エネルギー利用機器各種への補助制度
東京都は財団法人東京都環境整備公社と提携し、2009年度と2010年度の2年間、太陽光発電システムだけでなく、「太陽熱温水器」「ソーラーシステム」も対象にした補助制度を行います。都内の住宅に新たに設置した場合、太陽光発電システムではkW 当たり10万円(上限100万円)、太陽熱温水器は㎡あたり9,000円(上限10万円)が補助されます。ソーラーシステムについては、グリーン熱証書※の発行ができるものは㎡あたり33,000円(上限100万円)、できないものは同16,500円(上限50万円)が補助されます。
国や区市が行う補助制度との併用も可能。ただし、国は工事着工前、東京都は工事完了後と、申請するタイミングが異なるので注意が必要です。
※グリーン熱証書とは 本来は化石燃料や電力を使用して生み出す必要のあった熱量を太 陽熱で代替したとみなし、その分削減された化石燃料や電力量がエネルギー削減量として証書化したもの。
【詳細・問い合わせ先】
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)
http://www.tokyo-co2down.jp/taiyo/
住宅ローンの金利優遇など
●フラット35 の適用要件と優遇期間を拡充
住宅金融支援機構と民間金融機関との提携による、最長35年間の長期固定金利住宅ロー ン「フラット35」。住宅が「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久・可変性のうち一定要件をクリアした場合、当初5年間の借入れ金利を年0.3%優遇する「フラット35S(優良住宅取得支援制度)」の適用となります。今年度は住宅・不動産市場活性化のための緊急対策の一環として、期間が従来の5年から10年と大幅に拡充(2009 年5 月1 日の資金受け取り分より)。既に2009 年4 月1 日から受付を開始しており、総額7,000 億円の募集金額に達する見込みとなるまで、期間を分けず連続して受け付けます。
「フラット35S」には中古住宅を対象にした「フラット35S(優良住宅取得支援制度・中古タイプ)」もあり、フラット35の中古住宅基準に加え、「省エネルギー性」または「バリアフリー性」について1つでも基準を満たす中古住宅を購入する場合、当初5 年間の金利を年0.3%が優遇されます。
また、4月下旬に策定された経済危機対策により、フラット35 のさらなる緩和策が補正予算案として提出される予定です。現時点では確定していませんが「建設費・購入額の100%融資が可能に」「フラット35Sの適用期間が20年に」「ローンの借り換えにも利用可能に」など大型施策が多く、今後の行方に注目です。詳細は住宅金融支援機構HPの「経済危機対策における制度改定について」をご覧ください。
【詳細・問い合わせ先】
住宅金融支援機構
http://www.flat35.com/kaitei/yuryo19.html
経済危機対策における制度改定について(PDF ファイル)
http://www.jhf.go.jp/topics/h21/pdf/090427_2.pdf
●エコリフォームのローン金利優遇
損保ジャパン・クレジットでは、「太陽光発電の設置」「エコウィル、エコジョーズなどの設置」「燃料電池システムの設置」「エコキュートの設置」など、住宅の省CO2性能を高めるエコリフォームを自宅で施工する場合、リフォームローン適用金利を通常より年0.3%優遇する「リフォームローンecoプラン」を実施。また、建て主への直接的な還元ではありませんが、融資実行金額の0.3%相当額を、全国の里山保全活動を支援する『里山どんぐり募金』に寄付しています。
【詳細・問い合わせ先】
損保ジャパン・クレジット
http://www.sj-credit.co.jp/eco_reformloan/index.html
その他の助成
●埼玉県が住宅ローン負担を軽減する助成を実施
埼玉県では緊急経済対策として、県と民間金融機関(※別表参照)が提携した住宅ローンを利用して県内に戸建住宅を建設する人を対象に、5年間で最大100万円を助成する制度を実施します。対象となる住宅ローンは「埼玉の家 子育て応援!! 住宅ローン」「埼玉の家 家族のきずな応援!! 住宅ローン」「埼玉の家 エコな暮らし応援!! 住宅ローン」の3種類の提携ローン。それぞれ利用要件を満たした場合、融資額の1.0%相当額(上限20万円)を5年間助成します。募集時期は先着順1,500戸が2009年6月6日~6月9日、抽選500戸が2009年6月20日~30日。申し込みまでに融資の事前審査を通過し、募集開始から2009年8月末までに住宅の着工ができることが条件となります。
◆提携金融機関
埼玉りそな銀行/武蔵野銀行/埼玉縣信用金庫/川口信用金庫/青木信用金庫/飯能信用金庫/JAバンク埼玉/群馬銀行/東和銀行
【詳細・問い合わせ先】
埼玉県都市整備部住宅課
hhttp://www.pref.saitama.lg.jp/A10/BH00/renkei/loanhojyo_top.htm
連日、新聞やテレビでさまざまな景気対策が報じられています。住宅に関するものも多いのですが、国、自治体、民間機関・・・各所でバラバラに発表されているため、建て主が全部を把握するのはとても無理・・・ということで今回の緊急レポートとなりました。
上記表にもあるように、太陽光発電システムの設置や地元産木材を使った家づくりに対する助成制度は多くの自治体で実施しています。編集部が粘り強く問い合わせた苦心の作、ぜひお役立ていただければと思います。
とはいうものの、トクするから・・・と家づくりを急ぎ過ぎると、後で後悔することになりかねません。本当に必要なのかじっくりと検討した上で、いよいよ住まいを手に入れる(リフォームする)段階になってからでも、十分間に合うものはたくさんあります。記事の各問い合わせ先に訊ねれば、その時点で適用できるものを教えてくれますので、気軽に問い合わせてみてください。
【注目の最新記事】 |
住宅ローンのリスクに対する大いなる誤解 |
国の借金1000兆円超!日本経済は大丈夫なのか? |
世界の政治経済を知らずに、不動産は買えない時代に?! |