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予想以上のスピードで住宅に普及し始めた次世代照明 LEDの時代がやってくる!?

家庭用照明の新しい選択肢として急増するLED

 昨年、経済産業省は省エネの観点から「一部の白熱灯は2012年を目途に原則生産・販売中止に」との要請を国内メーカーに行いました。これを受け、住宅用の次世代照明として電球型蛍光灯が続々と発売になったのは記憶に新しいところですが、現在、さらに省エネ性の高いLEDの商品化にも拍車がかかっています。

 ただし「白熱灯が全てなくなってしまう」というのは、実は大きな誤解。実際に生産中止になるのはいわゆる昔ながらのシリカ電球だけで、クリプトン球やハロゲン電球は今後も生産される予定です。
「当面はこれらの白熱灯と蛍光灯、そしてLEDの3つが家庭用照明の選択肢になるでしょう。それぞれ特徴があるので、用途や場所に応じて上手に使い分けることが大切です」と、ヤマギワリビナ本館マネージャの安田正淑さんはアドバイスします。

 特にLEDは、ここへきて急速に製品が増えているものの、どのように使ったらよいか分からない人も多いのではないでしょうか。
「家庭用照明は、単純な明るさだけでなく居心地良く生活環境を整えるといった重要な役割があります。LEDは光の指向性が強く、蛍光灯に比べて影がくっきり出る特性があるので、壁や天井などに一旦バウンドさせて光を和らげると、くつろぎの場にふさわしいふんわりとした明るさになります。その際、照明器具は光源が直接目に入らない位置に設置してください」(安田さん)

 白熱灯や蛍光灯に比べて大きさが非常に小さいLEDは、照明器具をコンパクトにデザインできるというメリットも。デザイナーや建築家がLEDを使ったスタイリッシュな照明器具を次々と発表したり、反対に照明器具の存在を感じさせない光の演出方法が提案されたりしていますが、手始めとしてスタンドやペンダントなどを取り入れるのもひとつの方法です。

 「LED照明は今後ますます供給が増え、価格も安くなっていくでしょう。ただ、今はまだ性能に関する統一基準がないため、購入や施工の際は注意が必要です。意外と知られていないのが熱の問題。LEDは光源そのものより根元のトランス部分が熱を持つため、十分に熱を逃がす配慮をしなければいけません。特に、ソケット口が同じだからと寸法や放熱性を無視して使用すると、LED電球そのものの寿命や明るさ、色味などに悪影響を与えます。電球をLEDに取り替える際は、器具の写真を持ってお店に相談するといいですね」(安田さん)

 さまざまなシーンで商品化が進むLEDの照明器具。実際の住まいに取り入れると、どのようになるのでしょうか。この秋、オールLED照明のモデルハウスをオープンしたパナホーム新宿展示場に行って話を伺いました。

 「このモデルハウスは二世帯住宅として設計されていますが、親世帯棟(2階建て)の照明74台をすべてLEDに、子世帯棟(3階建て)はLED25台と蛍光灯45台の混合照明にしています。現在はまだLEDの価格が高く、全てに取り付けると照明費用だけでおよそ2倍のコストになってしまうため、親世帯を理想的な「最新エコ照明」、子世帯を現実的な「最適エコ照明」としてご提案しています」(同社 東京支社営業企画センター所長 寺谷信湯弥さん)

 早速オールLEDの親世帯に足を踏み入れてみたところ、感想は「白熱照明とほとんど変わらない!」。教えてもらわなければ、ほとんどの人が気付かないと思われるナチュラルな光の演出です。蛍光灯のようにのっぺりした光が隅々まで拡散することもなく、むしろ直線的に伸びる光と影で空間にメリハリが出て、高級ホテルのラウンジのような洗練された雰囲気を作り出しています。「LEDの光って人工的で冷たそう」といったこちらの予想を大きく覆したのは驚きでした。

 LEDはスポットライトのように光が拡散せずまっすぐ進むため、直接光が当たると非常に眩しく感じます。そこで、モデルハウスでは壁に反射させて間接照明のようにしたり、テーブルの上に光が落ちるようにするなど、位置や向きを工夫しています。

 逆に、キッチンの手元だけを明るく照らすことや、飾り棚のオブジェやお気に入りのアートを印象的に照らすことは非常に得意。照明を落としたシックな空間に一筋の光が届く吹き抜け空間などは、自宅に非日常性を取り入れる格好の演出方法となっているように感じました。

 寿命が約40,000時間と非常に長いLED。一旦取り付けると長期間交換せずに済むため、容易に球替えができないような場所に光源を置くことが可能になり、照明演出の手法の幅が格段に広がります。
「私どもでは、従来のような “一室一灯”の全体照明から、生活シーンに応じて複数の照明を組み合わせる”一室多灯”への転換を、『シンフォニーライティング』と名付けて提唱しています。必要な場所を必要な時だけ照らすことは、居心地のいい空間をつくるだけでなく、消費電力を大幅に減らすこともにもつながります」(寺谷さん)

 これから新築住宅を検討する際、環境面はもちろん空間デザイン面からも、有力な選択肢のひとつになりそうなLED。住まいにおける光の演出として、今後のさらなる進化に期待したいところです。


インテリアデザイン界で注目の橋本夕紀夫デザインによるLEDのスタンド。自然素材の木の持つ温かみと先端技術が融合した照明器具として2009年ミラノで発表した作品「MOONBIRD」。
各89,250円(ヤマギワ)


パナホーム新宿展示場の親世帯棟では、全ての照明にLEDを採用。リビングルームでは壁やフローリングの床にバウンドさせて光を拡散、空間にメリハリとニュアンスをつけている。実際は写真以上に暖かみを感じる


子世帯のリビングは天井のダウンライトをLEDに。光源が小さいため、小ぢんまりした空間でもシンプルでモダンな印象に仕上げることができる



取材協力:ヤマギワ株式会社 http://www.yamagiwa.co.jp/
       パナホーム株式会社 http://www.panahome.jp/

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