鵠沼橘で三番目のマンションプロジェクト「ザ・パークハウス藤沢」
「ザ・パークハウス」シリーズで知られる三菱地所レジデンスは、今般JR東海道線「藤沢」駅を最寄駅とする「ザ・パークハウス藤沢」を発表。駅から現地までは徒歩4分。鉄筋コンクリート造13階建て、総戸数88戸の分譲マンションである。
「ザ・パークハウス藤沢」は、三菱地所レジデンスが「藤沢駅」徒歩圏内で手掛ける3つめのプロジェクトになる。すべてのプロジェクトが藤沢駅の南西方向、住所では『鵠沼橘(くげぬまたちばな)』の域内に入る(右図「ロケーションイメージ」参照)。第一弾は平成24年春から秋にかけて売り出した「ザ・パークハウス鵠沼橘レジデンス」。地下1階地上3階建ての低層マンションで、販売坪単価は平均約@240万円。関係者の話によれば、「周辺の一軒家からの住み替え検討が多かった」という。駅から歩いて10分以上かかるものの、海に向かって緩やかに下る南傾斜地のてっぺんに位置する地勢(地形)が評価されたようだ。
第二弾は「ザ・パークハウス鵠沼橘プレイス」。第1弾が全て契約する直前から売り出し、こちらも3,4か月での早期完売となった。駅から徒歩6分。総戸数36戸。販売単価は平均約@230万円だ。13階建てで上層からの眺望がアピールポイントのひとつになった。広めの住戸に人気が集まった低層マンションの第一弾(「ザ・パークハウス鵠沼橘レジデンス」)とは異なり、70㎡台のタイプを中心に契約が決まっていった。
どちらの購入者も30代からシニア世帯まで年齢層は幅広い。生活スタイルもそれぞれに異なるはずだが、ひとつだけ共通した価値観を持っているという。それは、「海が好き」ということ。週末ふらりと海辺に出かけ好きな時間を過ごす。「余暇の楽しみ方が上手な方々ばかり」とは販売関係者の感想だ。
「ザ・パークハウス藤沢」 詳細情報
「藤沢」と「鵠沼橘」のロケーションイメージ
「ザ・パークハウス藤沢」3つの特長
「ザ・パークハウス藤沢」は平成25年秋に着工。一昨日(平成26年2月4日時点)見学したところでは、現場は地下の掘削作業を終え建物をこれから組み上げていく段階だった。完成は平成27年1月中旬の予定。引き渡しはさらにその2か月程度後(あと)。
物件の特長を3点に絞って解説しよう。
一つ目は最寄駅から徒歩4分であること。最近のマンション選びは、資産性の観点から「駅近」が高く評価される傾向にある。また、当該物件におけるアドバンテージは、駅からペデストリアンデッキを渡っていくアプローチ。駅前特有の雑踏に紛れることなく、自宅にたどり着くことができる。
二つ目は全戸南西向きであること。そもそも南間口の広い恵まれた地形(じがた)なのだが、建物をさらに南西に振ることによって、海はもとより西方の富士山まで視界に入るよう配置した。これにより、住戸列によっては商業地域で懸念される前建て(まえたて)との距離が取れた効用も見逃せない。
三つ目は全戸70㎡を確保したファミリータイプで構成されていること。駅近マンションは収益物件として賃貸化する傾向もあるが、ファミリータイプの比率が高いことはオーナー自ら住居として使う可能性が高いことを意味している。つまり、管理運営の面で望ましい住戸割りといえるわけだ。
駅近で広い。しかも(南方向が低層住宅街で)開放感がある。「ザ・パークハウス藤沢」は販売価格を坪換算で@250万円前後で想定。角住戸以外は5000万円台(予定)。公式サイトへの反響は累計で約1000件。市内比率が3割程度と、先行2物件(5割)を大きく下回る。「規模感(戸数)」や「駅近」が広域からの関心を集めているのかもしれない。
東海道線沿線のマンション事情
昨年から数か月かけて、神奈川県内のマンションを視察してきた。戸塚、鎌倉二階堂、江ノ島、川崎、新子安、そして藤沢。そのなかでとくに印象的だったのは、川崎と藤沢の相場動向である。つまり、「価格が上がっている」ということだ。
アベノミクスが不動産市場に影響を与えているのは、都心のごく限られた一部。郊外に株高や円安の波及はほとんど見られないといって良いだろう。あるとすれば、金利の先高感。それに加え、消費増税前の駆け込みが多少あるかどうか。それほどまでに大勢に影響はない。ところが、川崎と藤沢は少し状況が違っていた。
川崎は、近年活発化した駅前再開発と大型商業施設によるイメージの向上が要因として挙げられる。数年の間にすっかり変わってしまった駅周辺は、さらなる繁栄を予感させるものだった。リニア中央新幹線が品川始発(予定)になることも将来的な楽しみを増幅させる。今後、東京-羽田間は何かと話題の尽きないロケーションになるだろう。すでに1割近く上がっているが、同じく資産価値で注目される「武蔵小杉」などと比べるとまだまだ途上の感がある。
それに対して、藤沢は状況が全くといっていいほど異なっている。成熟した街の中で、世代交代がゆっくりと進んでいるようだった。一戸建てからマンションへの住み替える親世帯。一度は離れ、また持ち家のために戻ってくる子世帯。複数路線が集結するターミナル駅であること、落ち着いた住宅街が広がっていることなど幾つかの条件が誘発させる現象ではあろうが、藤沢特有のものとして「海辺が近い」、つまり湘南の玄関口というロケーションが希少性を高めている。資産価値を考慮するうえで、この点は大きな要因ではないか。郊外をひとくくりにするのではなく、細分化して見極めることが重要だと感じた。
数物件のモデルルームを見た感想を2つ。まずは70㎡3LDKの間取り(というよりも空間)が随分改良されたこと。柱梁の出っ張り、天井段差の抑制。収納や水回りの収まりも考慮され、同じ面積でも使い勝手はかなり良くなったのではないか。センターオープンサッシュは隠れたヒット。開放感が上がったことは確かだ。次にキッチンの改善余地について。ユーザーの意見を採り入れながら、常にマイナーチェンジを図る姿勢は一定の評価がなされてしかるべきだが、同時にまだまだその余地が残っているとも思う。開放感と収納力の両立。デベロッパーを問わず業界全体に対してさらなる進化に期待したい。(坂根)
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