「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン」改定の背景
品川駅・田町駅周辺のまちづくりは、都市・居住環境整備重点地域に指定(2004年8月)された後、東京都が「品川周辺地域都市・居住環境整備基本計画」を策定(2006年9月)。その翌年、基本計画に基づいたかたちで「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン」が策定されました(2007年11月)。
一方、2011年、同地域は特定都市再生緊急整備地域ならびにアジアヘッドクオーター特区にも指定され、国際競争を担う地域の一つとして位置づけられます。
さらに、羽田空港の国際化、リニア中央新幹線の始発駅となる予定があるなど、近い将来、同地域は首都圏と世界、あるいは東京と広域都市とをつなぐ結節点となり、その拠点性は高まる一方であることは明白です。
加えて、2020東京五輪が開催される湾岸地域と、渋谷や六本木といった従来の都市センターゾーンとの中間地点に当たることから、本来のロケーションとしての魅力をさらに引き上げる意味でも、今後の期待向上は必然と捉えることもでき、「これまでの計画を改定するに至った」(東京都・右図参照)ことはある意味自然な流れといえるでしょう。
新たな計画が公になったのが、昨日〈2014.07.17〉。さて、驚いたのはその中身です。
「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン」対象地域は約630ha
地域まちづくりガイドライン対象地域は約630ha(出典:東京都)
まず、その対象エリアが広大であること。
東はほぼ湾岸線、西はJR山手線五反田駅を起点に国道1号線を北上、慶應義塾大学に沿って、赤羽橋を右折し浜崎橋まで。南はソニー通り(八ツ山通り)が境界線。全部で約630haにもなる広大な計画です。
次に、インパクトある情報が環状4号線の延伸ではないでしょうか。通称「外苑西通り」は現在「目黒通り」の白金台交差点が起点(終点)になっています。それが、「高輪台」を通過し、品川駅北側をバイパスで経由して首都高速までつなげるとの構想です。
「高輪3丁目」までは都市計画道路で決定されており、「今後12年間(平成16年度~27年度)で優先的に整備すべき路線」に含まれています。正式は区間名は「環状4号線 高輪三~白金台三丁目(放射19~放射3)」全長1,560m。しかし現況は、その形跡を見ることはできません。
首都高速との結合はあくまで構想レベルだとか。計画が実現するものかどうかは、まったく(今の段階では)未定のようです。先日開通した環状2号線は、虎ノ門と羽田を「いずれ20分で繋ぐ」と話題になっていますが、同4号線がそれをさらに縮めるとなれば相当トピックになることは間違いないでしょう。
海外のビジネスパーソンを呼び込めるか、が鍵!?
「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン」おもな事業(出典:東京都)
東京都発表の「品川駅・田町駅周辺<まちづくりガイドライン2014(案)>」では、優先整備地区(品川駅北周辺地区、品川駅西口地区、品川駅街区地区、芝浦水再生センター地区の4地区)ならびに、その他の地区(品川浦・旧東海道地区、田町駅東口北地区、田町駅東口地区、田町駅西口地区の4地区)について詳しく記載されています。
なかでも注目したのは「国際交流地点としての品川」を目指すために「MICE」と「外国人向け住宅」に関連した記述です。
「MICE」とは、大規模な国際会議など海外からの集客カテゴリーで、アジアの中では「シンガポールの開催件数が抜きん出ている」ということです。コンベンション施設にとどまらず、ホテル、オフィス、ショッピングセンター、カジノなど複合型の施設が日本では欠如していると指摘しています。
住宅に至っては、「駅から遠い」「狭い」「間取りが和風」といった不満を持ち、また「インターナショナルスクールにアクセスしやすい」「食料品、レストランなどの充実」などを要望しています。国際化にはそのバリエーションを広げることが不可欠だといえるでしょう。
いずれにしても、(仮にすべての構造を含む計画が実現しなくとも)公共・交通(インフラ)事業の発展・延伸は、周辺不動産の資産価値に大きく影響を与えそうです。
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